徒然草 第百十一段

現代語訳

 「囲碁、双六を好み、朝から晩まで遊びほうけている人は、強姦、窃盗、殺人、詐欺といった犯罪や、親殺し、恩人殺し、背任、聖職者の傷害といった反逆よりも重い罪を犯している」という、ある聖人の言葉が今でも忘れられず、ありがたく思える。

原文

 「囲碁(ゐご双六(すごろく好みて明かし暮らす人は、四重(しぢゆう五逆(ごぎやくにもまされる悪事とぞ思ふ」と、(あるひじりの申しし事、耳に止まりて、いみじく(おぼ(はべり。

注釈

 双六(すごろく

  十二本の線を引いた盤上で白黒十二個の石を置き、二つのサイコロを振って出た数だけ石を動かす二人でする遊び。

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