現代語訳
大臣昇進のお披露目は、しかるべき会場を用意して開催するのが通例である。頼長左大臣は東三条殿で行った。近衛天皇の皇居だが、会場に申請されたので、天皇は他へ避難した。親しい間柄でなくても、皇室の女性の住まいを借り上げるのが、古来の習わしである。
原文
大臣 の大饗 は、さるべき所を申し請けて行 ふ、常の事なり。宇治左大臣殿 は、東三条殿 にて行はる。内裏にてありけるを、申されけるによりて、他所 へ行幸 ありけり。させる事の寄 せなけれども、女院 の御所 など借 り申す、故実 なりとぞ。
注釈
大臣に任命された人が開催する、披露宴。
藤原頼長。左大臣。保元の乱に参加し、白河殿の戦いで流れ矢にあたり死ぬ。
二条大路の南、町口小径の西にあった邸宅。
天皇がお出かけすること。