現代語訳
何事でも失敗を避けるためには、いつでも誠実の二文字を忘れずに、人を差別せず、礼儀正しく、口数は控え目でいるに越したことはない。男でも女でも、老人でも青二才でも同じ事である。ことさら美男子で言葉遣いが綺麗なら、忘れがたい魅力になろう。
様々な過失は、熟練した気で得意になったり、出世した気で調子に乗って人をおちょくるから犯すのだ。
原文
万 の咎 あらじと思はば、何事にもまことありて、人を分 かず、うやうやしく、言葉少からんには如かじ。男女 ・老少、皆、さる人こそよけれども、殊 に、若く、かたちよき人の、言 うるはしきは、忘れ難く、思ひつかるゝものなり。
万 の咎 は、馴 れたるさまに上手 めき、所得 たる気色 して、人をないがしろにするにあり。