現代語訳
「随分とないがしろにしてしまったから、きっと怒っているだろうなと、自分の惰性を責めながら、謝罪の言葉も見つけられずに放心していたら、彼女の方から、暇にしている家政婦さんはいませんか? いたら、一人紹介してくださいね、なんて言ってきてくれて、そんなことは誰にでも出来る芸当でもなく、予想外の出来事で、びっくらこいたよ。こういうハートを持った女の人は最高だね」と、ある人が言っていたけど、私も本当にそういう女の子がいればいいと思った。
原文
「久しくおとづれぬ比、いかばかり恨むらんと、我が怠り思ひ知られて、
言葉 なき心地するに、女の方 より、『仕丁 やある。ひとり』など言ひおこせたるこそ、ありがたく、うれしけれ。さる心ざましたる人ぞよき」と人の申し侍りし、さもあるべき事なり。
注釈
家の仕事をする下部、下僕。