現代語訳
鳥羽新街道は鳥羽宮殿が造営された後につけられた呼び方ではない。昔からある名前なのだ。「元良親王が一般参賀で演説した声が透き通るようで、高台の上から鳥羽新街道まで聞こえ届いた」と、鳥羽宮殿が造営される前に記された、重明親王の日記に書いてあったらしい。
原文
鳥羽 の作道 は、鳥羽殿 建てられて後の号 にはあらず。昔よりの名なり。元良親王 、元日 の奏賀 の声、甚 だ殊勝にして、大極殿 より鳥羽の作道まで聞えけるよし、李部王 の記に侍 るとかや。
注釈
九条の四ツ塚から上鳥羽、下鳥羽への道。
白河天皇が造営した御所。
陽成天皇の第一子。歌人で『元良親王集』がある。
天皇が下界を見下ろす高台。
醍醐天皇の皇子で、式部卿重明親王。