現代語訳
皇帝が父母の喪に服している一年間より、乾いた北風みたく淋しい気持ちになることは無いだろう。
喪に服すために籠もる部屋は、床板を下げて、安物のカーテンを垂らし、貧乏くさい布をかぶせる。家具なども手短な物を選ぶ。そこにいる人々が着ているものや、刀や、刀ひもが、普段と違ってモノクロームなのは、物々しく感じる。
原文
諒闇 の年ばかり、あはれなることはあらじ。
倚廬 の御所のさまなど、板敷 を下げ、葦 の御簾 を掛けて、布の帽額 あらあらしく、御調度 どもおろそかに、皆人の装束 ・太刀・平緒 まで、異様 なるぞゆゝしき。
注釈
天皇が両親の喪に服す期間。
諒闇の際に天皇が十三日間潜伏する場所。
板張りの床を他より低くした場所。
竹ではなく葦で造った貧乏くさい簾。
御
道具のたぐいが安っぽくて。