現代語訳
後七日の儀式の実行委員長である導師が、近衛兵を配備して厳重に警備するのは、いつだったか、儀式の最中、強盗に襲撃されたからである。「一年の計は元旦にあり」と言うぐらい、大切な儀式だが、軍隊に囲まれて開催されれば、軍事国家のようになる。
原文
後七日 の阿闍梨 、武者を集 むる事、いつとかや、盗人 にあひにけるより、宿直人 とて、かくことことしくなりにけり。一年 の相 は、この修中 のありさまにこそ見ゆなれば、兵 を用ゐん事、穏 かならぬことなり。
注釈
一月八日から一週間、国家安泰、五穀豊穣を願って行われる仏事。
衆僧を率いる導師。ここでは「後七日」のリーダーの事。
武者
僧侶を警備する武士。
『四季物語』に、一一二七年のこととある。
警備番のこと。