現代語訳
世間で当時の人のブームになった事を話題にしたり、知らなくても良いような分際にも関わらず岡目八目に内情を熟知していて、人に喋り散らしたり質問攻めにしたりするのは、頭に来る。特に田舎の坊さんに至っては、世間のゴシップに詳しく、自分の身辺の様に調査して、「なんで、何でお前がそんなことを知っているのだ」と軽蔑されるぐらいの勢いで暴露するようだ。
原文
世の中に、その
比 、人のもてあつかひぐさに言ひ合へる事、いろふべきにはあらぬ人の、よく案内 知りて、人にも語り聞かせ、問ひ聞きたるこそ、うけられね。ことに、片ほとりなる聖 法師 などぞ、世の人の上は、我が如 く尋 ね聞き、いかでかばかりは知りけんと覚ゆるまで、言ひ散らすめる。
注釈
もてあつかひぐさ
噂になったこと。評判になった話題。