現代語訳
ひとり淋しく懐中電灯の下で本を広げて、昔の文筆家たちと友情関係を育むことは、安心できて、楽しさのあまり心臓が停止してしまうぐらいに心が穏やかになる。
読書では、昭明太子が選んだのめり込みそうな詩集たちや、白楽天の詩や、老子のありがたい言葉や、荘周の道徳本などがよい。ニッポンの偉い先生方が書いたものだと、古い時代に書かれたものであれば信頼できるものも多い。
原文
ひとり、
燈 のもとに文 をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。
文 は、文選 のあはれなる巻々、白氏文集 、老子のことば、南華 の篇。この国の博士 どもの書ける物も、いにしへのは、あはれなること多かり。
注釈
中国南北朝時代、梁の昭明太子によって編纂された詩文集。
唐の文学者、
老子
春秋時代の思想家。または老子によって記された『老子道徳経』のこと。
『荘子』のこと。荘周の著書とされる道家の文献。『南華真経』とも。「